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つくりてのしてん 白神ももこの同行レポート連載開始!

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気になるアーティストの『視点』に迫る!

白神ももこが、気になるアーティストの創作現場に同行します。
彼らが作品を作るときの『視点』に着目し、気になったことや気づいたことを
レポートしていきます。

記念すべき第1回は、カメラマンの鈴木竜一朗さん!
どんな『視点』があったのでしょうか…

序文

私は、今まで自分のフィルターを通して見えた世界や人の面白みをダンスにして提示してくることばかりやってきたように思います。
ただ、その視点は散漫で、過去も未来も右も左も曖昧な世界でした。
私は、ここ最近モモンガ・コンプレックスの活動で、時間三部作として「過去」(大失敗。)と「未来」(秘密も、うろ覚え。)を題材にした作品を作ってきましたが、その最後となる「現在」を扱うこともあって、『現時点』にある『視点』について考えようと思いました。それから純粋に『人が見ている視点』を知りたい、そんなところからはじまりました。
まず、はじめは、シンプルに今そのときの一瞬を切り取っている写真のことが気になりました。
そして「今」を切り取るその時の視点がどこにあるのか気になって、写真家の鈴木竜一朗さんと撮影散歩に出かけてみたのでした。

・・・とはいえ、、写真というものに今まで申し訳ないくらい興味がなく、カメラを持っていても撮らずに自分の目に焼き付ける方が良いと考え、カメラを向けられても謎の警戒心で身構えて毎回ハニワ化していた私としては、一般的なことなども含めて知らないことが多く発見があるのでした。

第一回目。(5月21日11:00〜14:00)

急な坂スタジオ〜野毛山動物園〜野毛山公園

〜ショット〜

鈴木さんの持っている今日のカメラはCanonのデジタルカメラ『EOS 5D』とiPhoneとFUJIFILMの『FP−1』というポラロイド。
なかでもポラロイドは手間がいるのとネガ枚数が少ない&高価なため、いちいち撮る時が渾身の一撃的なショット。
このシャッターを切るショットという言葉。狙い撃ち。
小さな四角い覗き穴から被写体と向き合っている姿勢と集中がなんとも魅力的な様子で、その視線を向けられた相手と何らかの緊張関係が一瞬結ばれる。
なんていうか、剣の達人が刺客の存在に気づき、お互いピンと張りつめた糸のような緊張感で息を殺すあの感じ、、(ああ、表現が乏しい。。)
まあ、緊張関係って言っても相手が虎とライオンだったからかもしれないですが、人間だったらカメラと分かっているのでハイチーズ!てな感じになるでしょう。
ただ、やはり写真を撮る時の撮る側と撮られる側の何らかの緊張というか意識のつながりのような感覚はどちらもあるなと。

ライオン(ポラ)

「カメラ構える人って良いですよね。」と遠足の小学生を撮るカメラマンを見て言うと、「そうなんだよねー」とカメラをそのカメラマンに向ける鈴木さん。
この撮る側が撮られてる感じ、、不思議な感覚。
ちなみに私もカメラを構えてる時の鈴木さんを撮ろうと四苦八苦するも、デジカメが電池切れ、携帯のシャッターが遅い、などのあたふたぶりで全く撮れませんでした。これじゃ、刺客に入ってもすぐ捕獲されてしまう…。無念。

_MG_0659_MG_0665
『鈴木さんの撮る写真の余白のバランス、感じているセンターの位置がなんか面白い。なんだろ。』

鈴木さんといろいろな話をしているなか、印象に残ったのは、このカメラの技術の移り変わりと構え方 =人との向き合い方の移り変わりと比例している?ということ。

今や、スマホなどで簡単に写真が撮れてしまうけれど、簡単にすぐに消せもする。
もし、なにもかもが全て燃えてしまってもネット上に永遠に残り続けるかもしれないし、逆にもしかしたら全て消滅してしまうかもしれないこと。

カメラの発達は戦争とも深く結びついているため、ショットという言葉があるように、戦い方の変化と同じようにシャッターを切るスピードや人間の向き合い方も変わってきた。

ボタン一つで全てなかった事になってしまうかもしれない現代の怖さも感じました。
カメラ(写真)は時代を切り取る&時代に直結している。なによりも具体的に。
                                                    
『(写真は)この先どこへ行くのか全く見えない。』とどうなるか分からない事を悲観したりする事なくむしろ楽しそうに飄々と話す鈴木さん。
自分の作品では敢えて古い機材や普通なら捨てるポラロイドのゴミなどに着目して作品にしている。
丁度私たちが古典作品、シェークスピアや歌舞伎作品を上演したりするのと同じことだなーと思った。
新しくなりすぎて、そのスピードに人間がついて行くだけになっていると大事にしている軸を見失ってしまいますもんね。

_MG_0644_MG_0646

とくにカメラは進化がスピーディー。
カメラを構えている人がこの先をどう見ているのか、とても気になったのでした。

次回は、仕事場にお邪魔して、ある注文や素材がある場合にどこを見ているかを見学します。(アシスタントとして使ってください!)

momokosan001
『私もポラロイドで撮っていただきましたが、まだ撮られなれてないため、なんだかとっさの防御ポーズ感ある。ライオンたちの方が緊張感はあれど悠然としていたなあ。。。 』

テキスト:白神ももこ
写真:鈴木竜一朗

今回出て来た参考文献
ゲイリー・ウィノグランドの写真集 「The Animals」(1969年)
『ライフ・オブ・パイ』(映画、アン・リー監督作品、2013年)


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